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 17:15、S大・校舎内
 ヤツと俺の間は僅か1メートル程度。
 それが徐々にヤツが近付いてくる事によって短くなり、とうとう目の前に来た。
『鬼ごっこはおしまいにしましょ?』
 そう言ってヤツは笑顔を見せた。
 恐怖で呼吸が早くなり声を出す事すら出来ず、ただヤツを見ている事しか出来なかった。
『怖がらないで。ただ私と一緒にいてくれればいいの。
簡単な事よ。
貴方は私を見て、私の存在を認めてくれている。
私は私の存在を肯定してくれる者が欲しいだけ』
 ヤツは俺を宥めるかのように言った。
 そして俺の左の頬に触れる。
 冷たい感触がしたと感じた瞬間、俺の頭の中にヤツの記憶らしきものが流れてきた。