第一話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16


 高原の降りていった階段を降りると、そこにはもう高原の姿は無かった。
 どうやら本当に帰ってしまったそうだ。
(また改めてお礼しに行かなきゃいけないのかな・・・?)
 そんな事を考えていたらポケットの中に入れていた携帯電話が震えた。
 慌てて携帯を開くと今井の名前が表示されていた。
「もしもし?」
「あっ! やっと出た!! 今何処にいんだよ!?」
「学校の南館の前……何で?」
「お前今日誕生日じゃん!!」
 その今井の一言で自分の誕生日を思い出した。
 19歳の誕生日に幽霊に襲われるとはツイてない……
 1年後には快適な生活が待っているとはいえ、これでは先が思いやられる……
 ……………………
(本当に……? 1年後には幽霊の見えない生活なんて来るのか……?)
 急に一抹の不安が過ぎる。
 ずっと1年後には見えなくなるって信じていたが、あくまで小さい頃TVで言っていたのを見たってだけの話だ。
 ……高原さんみたいな人ならわかるのだろうか?
 彼は幽霊を見ても驚く事無く冷静だった。
 恐らく彼はプロフェッショナルだ。
 TVで見た霊能力者なんかよりも凄いのではないだろうか?
 彼なら俺に『1年後には見えなくなる』って確証をくれるのではないだろうか……?
「コウ! 聞いてるのか?」
「あっ……あぁ、で、何だったっけ?」
「これからお前の家で誕生日パーティしようぜ!」
「別にいいけど」
「何時頃家着くんだ?」
 ここから家までなんてさして時間はかからないが……
「悪い。1時間後とかでも大丈夫か?」
「えっ? まぁ、いいけど……じゃあ、1時間後にお前の家行くから!」
「わかった……じゃあ、後で」
 そう言って電話を切ると着信履歴が10件近くあり、全て今井からのものだった。
 俺が幽霊に襲われているはずの時間も、だ。
 こんな恐怖がこれから先も続くのかと思うと憂鬱なんてもんじゃない。
「今ならまだ居るかな?」
 俺はあの喫茶店の2階にある事務所に寄る事にした。