第一話 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16


 18:00、高原なんでも事務所前
「……あら?この前の学生さん?」
 喫茶店の前に着いたら閉店作業中らしき喫茶店のおばさんが声を掛けてきた。
「あっ、こんばんは……」
 俺が挨拶をすると、おばさんは抱えていた立て看板をおろして近付いてきた。
「お家はこの辺り? 今日はお客さんも少ないから閉めようとしたんだけど……待ち合わせか何か?」
 そう言いながらおばさんは店の中に視線をやった。
 中では主人が店内のカウンターで食器類を片付けていた。
「いえ……アポとかは無いんですが……二階の方はもう帰られましたか?」
 俺は二階の窓を見た。
 明かりが点いてる様子は無く、人のいる気配も無い。
「あぁ、まだ所長さんがいるはずよ。実はうちの息子も二階の事務所で働いてるんだけど、今日は先に家帰っちゃって……」
 そんなに大きな子供がいるようには見えなかったから関心していると、おばさんは建物の横にある非常階段を指差した。
「あの階段から直接上に行けるから使うといいわよ」
「ありがとうございます」
 俺は再びおばさんに会釈をすると階段に向かって歩を進めた。
 後ろから「またコーヒー飲みにきてね。」と声を掛けられたので再び笑顔で会釈をして二階に向かった。