第二話 1 2 3 4 5 6 7


 あの4月の事件から一ヶ月が経った。
 俺は大学の講義の後にアルバイト先である『高原なんでも事務所』に通う日々を送っていた。
 アルバイトと言っても、あの事件以降は幽霊などが絡むような事件も無く、
迷子になった犬の捜索や老人の話相手になるなどの所謂なんでも屋みたいな業務ばかりで、正直困惑している現状だ。
 ただ、一ヶ月通った成果が全く無いわけではない。
 はじめは変わり者ばかりだと思っていた事務所の人達ともだいぶ仲良くなった。
 まず、所長の高原さん。
 彼は普段事務所に居る時は煙草を吸いながら、書類を眺めたりしている事が多い。
 そして、たまに他の人と会話したらフラっと何処かに出掛けたりするが、
 基本的には何をしているのかはよくわからない。
 しかし、急に思い出したように俺に話し掛け、よくわからない除霊アイテムらしきものをくれたりする。
 今でも謎が多い人だが、たまに様子をうかがうと初めて会った
あの日の時のように儚げな雰囲気を纏っていて、胸が締め付けられる感じがする。
 次によく話すようになった早川さん。
 彼は会社のほとんどの業務をこなしているのか、だいたい忙しそうにPC前でキーボードを叩いている。
 はじめはとっつきにくい印象があったが、質問すれば丁寧に教えてくれる良き先輩だ。
 ただ、たまに笑顔が怖い。
 特に所長相手には……。
 あと、今井お気に入りのアサコさん。
 入社以降いろいろ話すようになったが、どうやら彼女も俺と同じで霊とかの類がよく見えるそうだ。
 彼女のおかげであれ以降快適な大学生活が送れている。
 また、俺と同じで所長によく貰うのか、鞄や携帯に除霊アイテムらしきものがジャラジャラ付いている。
 見た目通り素直で律儀なんだろうと解釈している。
 最後に非常勤のトオルさん。
 雰囲気が少し今井に似ているが、年齢もあり頼れるお兄さんみたいな人だ。
 一週間に一回出社してきては所長に何かの報告をした後、世間話をして帰っていく。
 一回飲みに連れて行ってくれたが、どうやら所長の学生時代の同級生らしい。
 確かによく苛ついている所長を小馬鹿にしてからかっている気がする。
 まぁ、まだ完全に馴染んだわけではないだろうが、今のところ平和に楽しい生活が送れている。